【2022年9月18日更新】図解・装飾の追加により記事内容をわかりやすく編集しました。
■第1章 マクロ心理学 企業行動理論
組織のマクロ心理学
心理学からは多くの良い理論が生まれている事をご存知だろうか?
認知心理学をベースに組織メカニズムを解き明かす強大な勢力を「カーネギー学派」と呼ぶ。
現在、世界中で課題としていることが「イノベーションの創出」や「企業の進化」ではないだろうか。今回は、その解決のための出発点と言える「企業行動理論」を解説する。
重要人物はだれ?
企業行動理論は認知心理学理論の思想を基にしている。その代表的な人物がハーバード大学の教授のサイモン氏である。サイモンは1978年にノーベル経済学賞受賞している人物だ。
どんな主張なのか?
「経済学は市場メカニズムや社会全体の構成を重視するあまり、企業組織の現実の意思決定やメカニズムを軽視してきたのではないか」と言う主張である。
端的には、カーネギー学派は経済学を批判しているのである。
具体的には、古典的な経済学では、企業といったものは生産関数のように非常にシンプルな設計で表現されている。そのため、ゲーム理論や組織形態の解説が発展してきているが、カーネギー学派にとって決して物足りないことであったのだ。
カーネギー学派の疑問視とは?
①認知の無限性
古典的な経済学によると意思決定者の認知に限界がないものと暗黙に仮定されている。
例えば、意思決定者は企業がとりうる戦略的な選択肢を数多く見出せる。また、それぞれの選択肢を取った際の反応に対しても見通せるとしている点。
②自社の便益の最大化
意思決定者は多くの選択肢から自社の便益を最大化するものを事前に1つに絞り込めるとしている点。
③プロセスを重視しない
意思決定者はあたかも数学で答えるかのように最適な選択肢を事前に瞬時に見つけられるとする点。
これらの過程は現実ビジネスの意識ってどこまでかけているのだろうか。
■サイモン氏の限定された合理性
認知心理学に基づくカーネギー学派を特徴づける最重要の前提がある。それは限定された合理性である。
「限定された合理性」とは、人は合理的に意思決定をするが、その認知力や情報処理力には限界があると言うものだ。この点を突き詰めることで、カーネギー学派経済学は全く異なる視点を提供する。
つまり、現実の組織の生々しい決定プロセスを目指すのがカーネギー学派と言うことが結果となる。
特に重要な概念は以下の2つだ。
サーチ
もともと認知が限られている組織の意思決定者が自身の認知の範囲を広げ、新たな選択肢を探す行動の事を指す。
満足度が低ければ、もっと自分をサティスファイさせてくれる選択肢を求めるのが合理的とする。
ただし、組織は認知力に限界があるのでローカル・サーチしがちになる。この傾向を乗り越えてより遠くの選択肢をサーチすることが、イノベーションにとって重要になる。
アスピレーション
直感的に言えば「自社の将来の目標水準」のことである。
組織意思決定の循環プロセス
・組織は満足度が低いほどサーチをする傾向がある
・満足度が高まれば企業はサーチをしなくなる
・組織が合理的だからこそ、サーチが停滞する
認知に限界のある企業がサーチを繰り返すと、その認知的な負担は大きくなる。
そのため企業は認知負担を減らすために、内部で「当然とされるルール・標準的な手続き・習慣」を形成するようになる。
■まとめ
【総まとめ】
- 企業行動理論の重要人物はハーバード大学の教授のサイモン氏。カーネギー学派は古典的な経済学を批判している。
- 疑問点は、①認知の無限性、②自社の便益の最大化、③プロセスを重視しない
- 認知に限界のある企業がサーチを繰り返すと、その認知的な負担は大きくなる。
- 企業は認知負担を減らすために、内部で「当然とされるルール・標準的な手続き・習慣」を形成するようになる。
今回は、最初の壁となる【経営心理】企業行動理論【3分解説】を学んできました。如何でしょう、ハードルが相当下がったと感じていただけたでしょうか。全く苦にならないレベルと感じていただけたら幸いです。
これから経営を始めたい、初学生の方の登竜門とも言える理論ですので、ぜひご活用ください!
以上、最後まで記事を読んでいただきありがとうございました。