こんにちはヤク学長です。
データサイエンティスト兼ファーマシストで、アルゴリズムやBI開発を行っています。
本記事の目的は、「SQLの基本操作を知る」ことを目的としています。
【本記事のもくじ】
まず、「SQL」に真剣に取り組むための概要を解説します。
下記の方法で、簡単に概要を抑えることができます。
- 7.トランザクション
それでは、上から順番に見ていきます。
なお、本上記の方法を順番に抑えれば成果が出ます。
記事の内容は「転載 & 引用OK」問題ありません。
7.トランザクション
データを管理の重要性
データベース(DB)は、正確にデータを管理する必要があります。これは、データベースが様々な目的に使用されるためです。例えば、ビジネスアプリケーションにおいては、データベースが正確でなければ、誤った決定が下されたり、不正確な情報に基づいた戦略を立てることになります。また、金融業界においては、正確なデータが必要不可欠であり、誤ったデータが渡されることは、重大な結果を引き起こす可能性があります。
データベースは、データの正確性を保証するために、様々な機能や手段を備えています。例えば、データベースには、データの整合性を維持するための制約(コンストレイント)があります。これにより、データベース内のデータが予め定義されたルールに従って格納され、データの不整合や矛盾を防止することができます。また、データベースには、トランザクション処理があります。トランザクションは、複数のデータベース操作をまとめて処理することができ、その処理が完了するまで、一時的にデータを保留することができます。これにより、データの整合性を維持することができます。
以上のように、データベースは、正確にデータを管理する必要があるため、データの整合性を維持するための様々な手段を備えています。これにより、データベースを用いた様々なアプリケーションや業務において、正確な情報が提供されることが保証されます。
トランザクション
トランザクションとは、データベースにおいて、複数の処理をまとめた一連の作業の単位のことです。トランザクションには、以下のような特徴があります。
- 原子性(Atomicity):トランザクションは、一連の処理が全て正常に完了するか、あるいは何も処理されなかった状態のどちらかになるまで、中断することができません。つまり、トランザクションに含まれるすべての処理が完了するか、もしくは何も処理されなかった状態になるまで、途中で中断することはできません。
- 一貫性(Consistency):トランザクションの処理が完了すると、データベースは一貫性のある状態になります。つまり、トランザクションを実行する前と後で、データベースの状態に矛盾が生じることはありません。
- 分離性(Isolation):複数のトランザクションが同時に実行された場合でも、トランザクション同士が互いに影響しないように処理されます。つまり、あるトランザクションの処理が他のトランザクションに影響を与えることはありません。
- 持続性(Durability):トランザクションが完了した後、その処理結果は永続的にデータベースに保存されます。つまり、データベースの障害やシステムの再起動などが発生しても、トランザクションが完了した結果は保証されます。
トランザクションは、データベースの整合性を保つために重要な役割を果たしています。トランザクションを利用することで、複数の処理が同時に実行されても、データベースの整合性を保つことができます。また、トランザクションは、アプリケーションにおいて不正な操作が行われた場合や、システムの障害などが発生した場合に、データの一貫性を維持するための手段としても利用されます。
MySQLでのトランザクション
MySQLにおいて、トランザクションは、複数のSQLコマンドを一連の処理として扱う方法の1つです。トランザクションを利用することで、一連のSQLコマンドが全て正常に実行されるか、もしくは全く実行されない状態になるまで、途中で中断することができます。
MySQLにおいて、トランザクションを開始するためには、BEGINまたはSTART TRANSACTIONコマンドを使用します。トランザクションの終了は、COMMITまたはROLLBACKコマンドを使用します。COMMITコマンドは、トランザクション内で実行された全てのSQLコマンドを確定し、データベースに永続的に保存します。一方、ROLLBACKコマンドは、トランザクション内で実行された全てのSQLコマンドを取り消し、データベースをトランザクション開始前の状態に戻します。
以下は、トランザクションの例です。
START TRANSACTION;
UPDATE accounts SET balance = balance - 100 WHERE id = 1;
UPDATE accounts SET balance = balance + 100 WHERE id = 2;
COMMIT;
この例では、2つのアカウントの残高を更新するトランザクションが開始されています。最初のSQLコマンドでは、アカウント1の残高から100を引きます。次のSQLコマンドでは、アカウント2の残高に100を加えます。最後に、COMMITコマンドを使用して、トランザクションを確定します。トランザクション内で実行された全てのSQLコマンドが正常に実行された場合、このトランザクションによって、アカウント1の残高が減り、アカウント2の残高が増えます。
しかし、トランザクション中にエラーが発生した場合は、ROLLBACKコマンドを使用してトランザクションを取り消し、トランザクション開始前の状態に戻します。これによって、データベースの整合性を保つことができます。
原子性とは
原子性(Atomicity)とは、トランザクションの特性の1つで、トランザクション内の一連の処理が、全て正常に完了するか、あるいは何も処理されなかった状態のどちらかになるまで、途中で中断することができないという性質のことを指します。
原子性は、トランザクションにおいて非常に重要な性質であり、トランザクション中に何らかのエラーが発生した場合でも、トランザクション内の処理が一貫して実行されることを保証します。例えば、あるトランザクションが銀行口座からお金を引き出し、同時に別のトランザクションが同じ口座からお金を引き出そうとした場合、原子性が保証されていないと、口座からお金が二重に引き出される可能性があります。しかし、原子性が保証されている場合は、トランザクションは一つずつ処理されるため、このような問題を回避することができます。
原子性は、トランザクションを安全かつ信頼性の高いものにするために不可欠な性質であり、ACID特性の1つとしても知られています。
自動コミットモード
自動コミットモードとは、MySQLにおいて、SQLコマンドを実行した際に自動的にCOMMITされるモードのことを指します。自動コミットモードは、デフォルトで有効になっており、新しい接続が確立されるたびに有効になります。
自動コミットモードが有効な場合、SQLコマンドを実行するたびにトランザクションが開始され、実行されたSQLコマンドが自動的にCOMMITされます。これにより、トランザクションの開始やCOMMIT、ROLLBACKコマンドを明示的に指定する必要がなくなります。
ただし、自動コミットモードが有効な場合でも、BEGINまたはSTART TRANSACTIONコマンドでトランザクションを明示的に開始することができます。また、トランザクションを明示的に開始した場合は、COMMITまたはROLLBACKコマンドでトランザクションを終了する必要があります。
自動コミットモードが有効である場合、SQLコマンドを実行するたびにトランザクションが開始され、COMMITされるため、複数のSQLコマンドを一つのトランザクションとしてまとめたい場合や、COMMITやROLLBACKコマンドを実行する必要がある場合には、自動コミットモードを無効にする必要があります。自動コミットモードを無効にするには、以下のコマンドを実行します。
SET autocommit=0;
これにより、トランザクションが開始され、COMMITまたはROLLBACKコマンドが実行されるまで、SQLコマンドが実行されたデータベースの状態が変更されなくなります。
ロック
ロックとは、複数のトランザクションが同時に同一のデータを操作する場合に、データの整合性を保つために使用される機能です。ロックを使用することで、他のトランザクションが同一のデータを読み込んだり、更新したりすることができなくなります。これにより、同時に複数のトランザクションが同一のデータを操作することによって発生する競合状態を回避し、データの整合性を保つことができます。
MySQLでは、共有ロックと排他ロックの2種類のロックが提供されています。共有ロックは、複数のトランザクションが同時に読み込みを行う場合に使用されます。一方、排他ロックは、データを更新するトランザクションが実行される場合に使用されます。共有ロックは他のトランザクションが読み込みを行うことができますが、排他ロックは他のトランザクションが読み込みや更新を行うことができません。
ロックは、トランザクション内で以下のように実行されます。
START TRANSACTION;
SELECT * FROM table_name WHERE column = value FOR UPDATE;
UPDATE table_name SET column = new_value WHERE column = value;
COMMIT;
この例では、トランザクション内で、table_nameテーブルからcolumn = valueの条件に一致する行をSELECT文で取得し、FOR UPDATEを使用して行をロックします。次に、UPDATE文でデータを更新し、COMMITでトランザクションを確定します。
ロックは、複数のトランザクションが同時に同一のデータを操作する場合に非常に重要な機能です。しかし、ロックが長時間維持される場合、他のトランザクションが待ち状態になり、パフォーマンスが低下する可能性があります。そのため、ロックの管理は慎重に行う必要があります。また、必要以上に長い時間ロックを維持することは避け、できるだけ短い時間で処理を完了するように設計することが重要です。
トランザクションロックの実例
-- テーブル作成
CREATE TABLE accounts (
id INT PRIMARY KEY,
balance INT
);
-- テストデータの挿入
INSERT INTO accounts (id, balance) VALUES (1, 100), (2, 200);
-- トランザクション開始
START TRANSACTION;
-- アカウント1の残高を更新し、共有ロックを取得する
SELECT * FROM accounts WHERE id = 1 FOR UPDATE;
UPDATE accounts SET balance = balance - 50 WHERE id = 1;
-- アカウント2の残高を更新し、排他ロックを取得する
SELECT * FROM accounts WHERE id = 2 FOR UPDATE;
UPDATE accounts SET balance = balance + 50 WHERE id = 2;
-- トランザクションを確定する
COMMIT;
この例では、accountsテーブルに2つのアカウントとその残高を挿入し、トランザクションを開始します。次に、アカウント1の残高を減らすために、共有ロックを取得して、SELECT文を実行します。そして、アカウント1の残高を減らすためにUPDATE文を実行します。その後、アカウント2の残高を増やすために、排他ロックを取得して、SELECT文とUPDATE文を実行します。最後に、COMMITコマンドを使用して、トランザクションを確定します。
この例では、トランザクションが完了するまで、accountsテーブルのデータは他のトランザクションによって読み込まれたり更新されたりすることができません。また、アカウント1の残高を減らすために共有ロック、アカウント2の残高を増やすために排他ロックを使用することで、複数のトランザクションが同時に同一のアカウントを操作することを防ぎ、データの整合性を保つことができます。
明示的なテーブルブロックとデッドロック
明示的なテーブルブロックとは、トランザクション内で明示的に行われるテーブルに対するロックのことです。これにより、他のトランザクションが同一のテーブルに対して操作を行えなくなり、データの整合性を保つことができます。明示的なテーブルブロックは、以下のように記述します。
LOCK TABLES table_name [AS alias_name] lock_type [, table_name [AS alias_name] lock_type] ...;
ここで、table_nameはロックするテーブルの名前、alias_nameはテーブルに対するエイリアスの名前、lock_typeはロックの種類(READまたはWRITE)を指定します。
一方、デッドロックとは、複数のトランザクションが同時に相互に依存し、データの整合性が保たれなくなる状態を指します。例えば、トランザクションAがテーブルXの排他ロックを取得し、トランザクションBがテーブルYの排他ロックを取得する場合、トランザクションAがテーブルYのロックを待ち、トランザクションBがテーブルXのロックを待つという状況が発生する可能性があります。このように、互いに相手のロックを待つ状況に陥ることをデッドロックと呼びます。
デッドロックは、トランザクションの待ち時間が長くなり、データベース全体のパフォーマンスが低下する原因となります。そのため、MySQLでは、InnoDBストレージエンジンがデッドロックを検出し、自動的にロールバックする仕組みが用意されています。また、トランザクション内でロックを獲得する順序を一定にすることで、デッドロックを回避することができます。
明示的なテーブルブロックは、データの整合性を保つために重要な機能ですが、ロックを長時間維持することはパフォーマンスに影響を与えるため、適切に設計する必要があります。また、デッドロックは避けることができない場合もあるため、トランザクションの設計やロックの獲得順序を慎重に検討することが重要です。
アプリケーションでのトランザクション処理
アプリケーションでのトランザクション処理は、データベースにアクセスする場合に必要な処理です。アプリケーションは、トランザクションを開始してから、一連のデータベース操作を行い、最後にトランザクションを確定することで、データベース内のデータの整合性を保つことができます。
アプリケーションでトランザクションを実装する場合、以下のような手順を踏むことが一般的です。
- トランザクションを開始する アプリケーションは、データベースに接続してトランザクションを開始します。トランザクションは、データベース操作をまとめるための仕組みであり、トランザクション内で実行されたすべての操作は、まとめて処理されます。
- データベース操作を行う トランザクションが開始されると、アプリケーションはデータベース操作を行います。これには、データの挿入、更新、削除、検索などが含まれます。
- エラーが発生しないことを確認する アプリケーションは、データベース操作の結果をチェックして、エラーが発生していないことを確認します。エラーが発生した場合は、トランザクションをロールバックし、処理を中止します。
- トランザクションを確定する エラーが発生しなかった場合、アプリケーションはトランザクションを確定します。これにより、トランザクション内で行われたデータベース操作が一括して反映されます。
アプリケーションでのトランザクション処理は、データベースにアクセスする場合に欠かせない処理です。トランザクションを使用することで、データベース内のデータの整合性を保つことができます。しかし、トランザクションを不必要に長時間維持すると、データベースのパフォーマンスが低下する可能性があるため、適切に設計することが重要です。また、トランザクションを実装する際には、エラー処理にも注意を払う必要です。エラー処理が不十分であると、トランザクション中にエラーが発生した場合に、データベース内のデータが矛盾する可能性があります。そのため、トランザクション内で行う操作の前に、エラー処理を事前に考慮することが必要です。
また、トランザクション処理を実装する場合、ロックの競合が発生することがあります。トランザクションが同時に同じデータにアクセスする場合、ロックの競合が発生し、トランザクションの待ち時間が長くなり、パフォーマンスが低下する可能性があります。そのため、トランザクション処理を実装する際には、データベースの設計やトランザクション処理の方法を適切に設計することが重要です。
最近では、トランザクション処理を行うためのフレームワークやライブラリが豊富に提供されています。これらを利用することで、より簡単にトランザクション処理を実装することができます。しかし、トランザクション処理はデータベース操作に欠かせないものであり、しっかりと理解して実装することが重要です。
というわけで、今回は以上です。大変大変お疲れ様でした。
引き続きで、徐々に発信していきます。
コメントや感想を受け付けています。ちょっとした感想でもいいので嬉しいです。
それでは、以上です。