LangSmithで実現するLLMのオンライン評価戦略 🚀

LLM

LLM(大規模言語モデル)を活用するなら、出力の評価は避けて通れません。
なぜなら、LLMの回答は確率的に変化し、時に誤情報(ハルシネーション)を含むからです。

しかし、人間がすべての出力を評価するのは非現実的です。
そこで登場するのが「LLM-as-a-Judge」というアプローチ。

さらに、LangSmithを活用すれば、オンラインでの評価を自動化でき、LLMの品質管理が劇的に楽になります。

本記事では、LLMの評価をLangSmithでどう実装するのか?
そして、LangSmithの制約を理解し、適切な評価方法を選ぶポイントを解説します。

【本記事のもくじ】


🔍 なぜLLMの評価が必要なのか?

1. LLMの出力は毎回異なる

同じ質問でも、異なる表現で回答するのがLLMの特性です。

例えば、「日本で一番高い山は?」という質問に対して

  • 「富士山」
  • 「富士山です」
  • 「富士山(標高3776m)」

どれも正解ですが、表現の違いがあるため、単純な文字列比較では評価が難しいのです。

2. 誤情報(ハルシネーション)のリスク

LLMは、「それっぽい嘘」を生成することがあります。
たとえば、「2024年のノーベル賞受賞者は?」と聞かれたとき、
最新のデータを持っていなければ、架空の名前を作り出すかもしれません。

3. ユーザーに適切な情報を届けるため

LLMが正しい情報を提供していたとしても、

  • 言葉遣いが不適切
  • 説明が冗長すぎる
  • サービスの意図とずれている

といった問題があると、ユーザー体験が損なわれます。

こうした理由から、LLMの出力を定期的に評価し、品質を担保することが不可欠なのです。


🤖 LLM-as-a-Judgeとは?

LLMの評価方法にはいくつかありますが、その中でも注目されているのが**LLM自身でLLMを評価する「LLM-as-a-Judge」**という手法です。

💡 どういう仕組み?

  1. LLMの出力を取得
  2. 別のLLM(または同じLLM)を使って評価を実施
  3. スコアを算出し、品質をチェック

✅ LLM-as-a-Judgeのメリット

  • 評価を自動化できる(人手を削減)
  • 一定の基準で評価できる(感情に左右されない)
  • リアルタイムで出力を判定できる

しかし、実装するにはそれなりの手間がかかります。
ここで活用できるのが LangSmith です。


🛠 LangSmithを活用したオンライン評価の実装

LangSmithを使えば、オンラインでの評価を自動化できます。

✅ 設定方法(手順)

  1. LangSmithで「Add Rule」を追加
  2. 「Action」で「Online Evaluation」を選択
  3. 評価用のプロンプトを選択(または作成)
  4. APIキーを入力して実行

設定が完了すれば、LLMの出力がリアルタイムで評価され、スコアが記録されます。

📝 具体的な評価プロンプト例

LangSmithのオンライン評価では、以下のようなフォーマットを利用します。

You are assessing a submitted answer on a given task or input based on a set of criteria.  
Here is the data:  
[BEGIN DATA]  
[Input]: {input}  
[Submission]: {output}  
[Reference]: {reference}  
[END DATA]

このフォーマットに沿って、入力・出力・期待値(Grand Truth)を設定し、LLMに評価させる仕組みです。


⚠️ LangSmithの制約と注意点

LangSmithのオンライン評価は強力ですが、いくつかの制約があります。

❌ 1. 評価結果に応じた処理の分岐ができない

例えば、評価スコアが低かった場合に

  • LLMに再生成させる
  • 人間のレビューを挟む

といった処理を組みたい場合、LangSmithのオンライン評価は適しません。
なぜなら、LangSmithの評価結果はアプリケーション側で即時取得できないためです。

❌ 2. プロンプトの長文化による影響

LangSmithでは、評価対象のプロンプトがそのまま評価用プロンプトに含まれるため、

  • 評価コストが高くなる
  • プロンプトが長すぎて意図した評価ができなくなる

というデメリットがあります。

❌ 3. Webhookの遅延

LangSmithでは、評価結果をWebhookで取得することが可能ですが、
Webhookのレスポンスが遅れる可能性があるため、
リアルタイム性が求められる処理には向いていません。


🔄 LangSmithを使うべきケース・使わないべきケース

LangSmithが向いているケース LangSmithが不向きなケース
評価を「記録するだけ」でよい場合 評価スコアに応じて処理を分岐させる場合
初期段階の評価プロセスを試したい LLM出力を即時修正・再生成したい場合
すぐに評価を実装したい Webhookの遅延が問題になる場合

📌 まとめ:LangSmithのオンライン評価でできること・できないこと

✅ LangSmithでできること

  • オンライン評価の自動化
  • LLM-as-a-Judgeの簡単な導入
  • 評価の記録・分析

❌ LangSmithでできないこと

  • 評価結果に応じた即時処理(再出力・修正)
  • 長すぎるプロンプトの最適化
  • リアルタイムの分岐処理(Webhook遅延の影響)

LangSmithは、**「とりあえず評価を試したい」**というフェーズには最適ですが、
本格的に運用するなら、アプリケーション側で評価処理を組み込むのが理想です。

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